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Cafetalk Tutor's Column

Remi Inari 講師的專欄

HOW TO RELAX

每週主題: Favourite book to read this season

2024年1月31日

こんにちは!
作曲家で音楽科講師をさせて頂いているRemiです。

2024年もスタートしてからもう間も無く2月を迎えようとしていますね。
みなさまにとって、どんな1ヶ月でしたか?
日本のみなさまの中には、元日から災害や事故、事件など痛ましい出来事が続き、被災や被害の当事者の方々や、そのご家族、ご友人のみなさまはもちろんのこと、離れたところにいても悲しいニュースを見聞きしていることで苦しい思いをしている方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

どうにかならないものか、何かできないだろうか。。。と共感力の高い人ほど、自分のことのように痛みを感じて思い悩んで、無力感や罪悪感を強く感じすぎてしまうこともあるようですね。

「ちょっと心が疲れちゃったな」という状態も、美味しいものを食べて、ゆっくりお風呂に入って、ゆっくり寝ることですぐ回復できる程度だったらいいのですが、うっかり放っておいて、正義感が暴走して攻撃的になってしまったり、善意につけ込まれて搾取されるなど、二次的、三次的な被害を生み出さないようにしなければいけません。
とても難しい問題のような気もしますが、一人一人ができる範囲で心の余裕を持って暮らすことが第一歩だと思うので、

私はひとまず、ネットやテレビから離れて、読書する時間を意識的に作ろうと過ごしていたところなのですが、ちょうど今週のコラムのテーマは“この季節に読みたくなる本”とのことなので、ぜひこの一冊を紹介させていただこうと思いました。

Thich Nhat Hanh さん著の 『HOW TO RELAX 』です。

Thich Nhat Hanh (ティック・ナット・ハン)さんは、私が紹介するまでもなく、とても有名なベトナム出身のお坊さんで、マインドフルネスに関する著作がたくさんありますよね。2022年に96歳でお亡くなりになるまで平和活動に従事され、欧米では「マインドフルネスの父」と呼ばれる方です。

ハンさんの著書は決して仏教の布教を目的としたようなものではなく、仏教のアイデアに基づいて、私たちが一日一日どうしたら気分良く過ごせるようになるかのヒントがシンプルに書かれていることも、国や信仰の境を問わずにとても人気が高い理由なのではないかと思います。

今回私がご紹介したいと思った『HOW TO RELAX 』は
“休息とリラックスのために特別な時間を確保する必要はありません。特別な枕や高級な設備・機材は必要ありません。・・・”
という書き出しから始まり、
場所や環境、時間を問わずに、自分自身でどのようにリラックスするかの方法があらゆる方面から提案されています。この作品に限らず、ハンさんは呼吸に集中することの大切さを繰り返し述べています。

自分が今、息を吸っている、息を吐いてる、と唱えながら呼吸に集中し、自分の心臓の鼓動し続けていること、肺が膨らんだりしぼんだりしていること、自分の体で起こっていることひとつづつに集中することがメディテーションの基本のようです。

当たり前のことのようですが、いざ実践してみると、いかに自分が普段から他のことに気が散った状態であるかを実感します。
心や体を休めるための基本的な行いに対して、まだまだ訓練が必要だなあ...と感じるのは、本末転倒というか...矛盾しているような、そんな気もしなくはないのですが、ノイズにまみれている状態を自覚するだけでも、「まずは頭の中の整頓をしてみよう」と順々に落ち着いて自分に起こっていることを整理していくきっかけにもなり、結果として少し体が楽になるような感じがしているので、習慣にしていきたいと思っています。

音楽のレッスンをしていても、例えば楽器のレッスンだと「姿勢に気をつけてたっぷりと息を吸いましょう。」とか、作曲のレッスンだと「全体を見渡してみましょう。自分の好きな音を選んでいきましょう。」とか、当たり前のような同じことをどの生徒さんにも繰り返し何度も何度も伝えていたりします。芸がないように思われるかもしれませんが、これは決して私の生徒さんたちが不出来なせいだとかではありません。

思い返してみると私自身も尊敬する師匠たちから何度も何度も同じことを言われてここまできました。もちろんそれ一つだけを言い続けるわけではないですし、同じことでも違うシチュエーションや言い回しであったりすることもありますが、同じことを言われるとついつい「また同じことを言われちゃったな...成長できてないな...」とネガティブに捉えてしまったこともあるのですが、年月が経って、自分自身も教えさせていただく立場になると、その ”同じこと” への認識がだいぶ変わってきました。
そもそも 基本的なことで、とても大切なことというのは、簡単そうに聞こえて実は持続するのが難しいことが多いのではないでしょうか。レッスンというのは、そのような ”自分一人ではうっかり忘れそうになったり、スルーしてしまいそうになる大切なこと” のリマインダーとしての役割もあると思っています。

確かに世の中には生死に関わるような失敗が許されない状況であったり、緊張感が必要な時も存在すると思いますが、真面目すぎるあまり、自分にも他人にも完璧を求めるような、なんでもかんでもプレッシャーがかかるような空気をつくってしまうと、なかなか息抜きが難しかったり、上手くいかないことが現れた時にストレスを強く感じてしまったりして、そうすると心に余裕がなくなって、どんどん視野が狭くなり、どんどん上手くいかなくなる。。。というような負の連鎖が起こってしまいます。

私が専門としている音楽それ自体では、何かを失敗したとしても、即効で生命に関わるようなことは恐らくなく、プロでなくて趣味として取り組まれている方でしたら尚のこと、上手くいかないことがあっても心を落ち着かせて気分良く音楽と付き合っていって欲しいので、レッスンは出来不出来に一喜一憂したりするためのものではなくて、何度でも安心して失敗してもらい、困った時には一緒に基本に立ち返るためのリマインダーとしても活用していただければと思っています。

少し話が逸れてしまいましたが、前述したハンさんの本は、ちょっと心に疲れが溜まってきた時に、基本に立ち返るリマインダーとしての役割を担ってくれます。

あれもしなきゃ、これもしなきゃ、あれもしたい、これもしたい、ああしなきゃ、こうしなきゃ、あれも欲しい、これも欲しい、あれもヤダ、これもヤダ・・・
と、途切れることのない悩みや、日常生活に追われていたり、うっかり自分で自分を苦しめてしまっている時に、
本に書かれていることを騙されたと思って、少し実践してみるのも良いですし、ただ目を通すだけでも煮詰まった思考や高まりすぎた緊張感をほぐしてくれるかと思います。

ハンさんの著作は日本語訳されているものも多く、まだ読んだことがない方は、手に入りやすいものがあればどれでも読んでいただいて損はないかと思いますが、Being Peace (ビーイング ピース)が人気も高く、様々な著作の中で書かれていることのまとめのような感じでおすすめです。

英語版でもハンさんの著作は、難しい言い回しや表現などがなく、かなりシンプルに優しい英語で書かれているように思いますので、英語勉強中という方たちにとってもとても良い本だと思います。


こちらニューイングランド地方では、日本の多くの地域と同じように、まだまだ寒く、日照時間が短い日が続きます。

「なんだか憂鬱だな」という時や、「上手くいかないな」とか「イライラするなあ」とか、負の感情も人間にとっては自然なことだと思います。
楽しいことがあるときは大いに楽しんだら良いですし、そうでない時も悲観的になりすぎず、焦らず、息を吸って、吐いて、を繰り返ししていきましょう。
みなさん一人一人が少しでもリラックスして気分良く過ごせますように!


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